コロナ禍の不動産市況について
コロナ禍で不動産価格は上昇
コロナ禍以降、首都圏では不動産の価格は2年連続上がっています。基準地標準価格は全国的には下がったと報道されていますが、2021年首都圏の住宅では、土地が前年比6%、マンションが3.5%上昇しています。
この現象について、不動産仲介の現場の立場から気づくことをお話いたします。
コロナショック以前の数年間は、「日本の不動産は割安感がある」ということで海外マネーが入り込んでいました。その為、国内需要だけではなく、海外からの投資目的の資金流入の影響で、不動産の値段が上がっていったと、いう背景がありました。
ところが、コロナショックが起きてからは、人もお金も日本に入って来られなくなり、海外マネーが全く入ってこない状態になりました。そのため「日本の不動産市場はいよいよ終わりか」と、メディアも派手に報道していました。
生活スタイルの変化が一因
実際はどうなったかと言いますと予想とは真逆で、生活スタイルが変わった方々の実需が大きく動き始めました。
例えば、テレワークが始まった方々が、普通の生活空間の中にテレワーク用の部屋やスペースを確保することが難しいため、小さくても良いので、仕事用の部屋がほしいため住み替えるという現象が起きました。働き方、暮らし方の変化で今の住まいと違う形態を求める方々が増えたのです。
他にも、公共交通機関を利用したくない方々が、徒歩又は自転車で通勤できる自宅に住み替えるというケースや、テレワークが続くなら都心に住む必要がないため、郊外に移り住むというケースも急増しました。これが2020年の状況です。
2021年は住宅の供給量が減少
2021年に入りますと、コロナ感染者数が前年以上に増加し、深刻度を増しました。
首都圏では、緊急事態宣言またはまん延防止等重点措置が適用されていない期間は、2021年9月までで1ヶ月程度しかない状況でした。その結果、日常生活の人の動きも止まりましたが、「住まいを変える」という、日常生活以上に負荷がかかる動きをする人が、相当減りました。特に、このコロナ禍で家を売って住み替える、という今あえて非日常のアクションを起こそうとする人は減りました。
「今住んでいる家に、不特定多数の人が内覧で見に来るというのは避けたい」と考える人が増えたのも一因と推定されます。
流通物件の供給量が減ったことが大きな原因で、不動産の値段は上がりました。
不動産価格の下落はまだ先になりそう
購入価格の上昇の原因は、この他にもいくつかあります。
新築戸建ての場合は、建築資材の輸入が困難になったこと等によるウッドショックの影響で価格上昇しています。また、コロナのため、外国人が全く日本の建築現場に来てくれなくなりました。下職さんが確保できず、工期が長くなったり、建築費が上がったりしています。そのため、一昨年と比べ、「同じ値段では同じエリアで買えない」ということが起きています。
一方で売るには非常に良い時期と言えます。供給が少ない中での売り出しになるため、成約までの時間も短く、大きな価格交渉を受けずに売ることができるケースが多いと言えます。
では、いつになれば不動産の価格が落ち着くのかと言いますと、コロナが完全に収束するだけではなく、人やモノの世界的な動きが正常化してから以降になると考えられます。つまり1、2年で元に戻るとは考えにくいと見ています。
この状況で住宅取得を目指すにあたっては、資金の面や物件探しの面で、様々な困難やご不安を抱えている方も少なくない状況です。
リフプラスとしては、市況を冷静に把握しつつ、ライフプランの観点で最善の住宅選びをサポートしております。また住宅に限らず、不動産投資や、土地活用に関してもご相談下さい。誠心誠意対応いたします。