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住宅・不動産コラム
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自宅を担保にして老後資金を補填する方法

リフプラス FP/宅建士 飯田敏

NHKドラマ『正直不動産』第7話では、「リバースモーゲージ」に関するエピソードが出てきました。今回は、リバースモーゲージ等の、自宅を担保にするなどの方法で老後資金を補填する方法について3つのパターンをご紹介いたします。

リバースモーゲージについて

まず1つ目は、ドラマの中にも出てきた「リバースモーゲージ」についてです。これは、自宅を担保にして、そのまま住み続けながら銀行から融資を受けられる仕組みのローン制度です。もともとは、フランスのビアジェというシステムをモデルにしたものです。日本ではこのシステムを、「老後の私的年金を確保できるシステムとして導入していこう」と自治体や社会福祉協議会などが主導で始めました。

リバースモーゲージは、自宅を担保に入れるといえども、最初に所有権の移転を行ってしまうため、形式的には売却と同様の仕組みです。しかし、もしも自宅の所有権を取り戻したくなった場合は、最初に契約した金額、もしくは、多少の手間賃も含めて最初の契約時を上回る金額を出せば自宅を取り戻すということは可能です。

ドラマの中では、自宅の査定額が4,800万円という話が出てきました。この物件の場合は、いくらぐらいの融資を受け取ることができるのでしょうか。査定額4,800万円とは、売却時にはこのくらいで売却出来るだろうという想定の金額ですが、これがリバースモーゲージの金融機関の評価になると少し厳しくなり、80~90%となることが一般的です。仮に90%程の評価だとすると、4,800万円の市場査定であれば、4,300万円程に値踏みされる可能性があるということです。そして、この評価に対して60%程度の融資が受けられると考えておくのが安全です。つまり、この場合の融資額は、4,300万円×60%=2,600万円程度となる可能性があるということです。

ドラマの中では20年間のリバースモーゲージ契約をするという設定だったため、2,600万円を20年で月割りにすると、おおよそ10万円程です。自宅を担保に入れて、毎月10万円くらいの私的年金を受け取れるということですね。ドラマの中では20年の契約でしたが、取扱金融機関や自治体によっては終身という契約もあります。年数が伸びる分だけ給付金額は減少することが一般的なため、長生きの方にはリスクがあると言えます。

利息分の返済のみの「リバース60」

2つ目に、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して融資を行うフラット35が行っている「リバース60」という仕組みがあります。これは、高齢になってから家を建て替える際に住宅資金の融資を受けられ、元金返済はなく、利息分だけの返済でいいという仕組みです。元金の支払いは、債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済するか、現金で一括返済するかを選択できます。

リースバックについて

3つ目に、不動産会社やローンバンクがやっている「リースバック」という仕組みがあります。これは、今の自宅にそのまま住み続けたい、ただし、お金がないという方向けのものです。リースバックは、最初の査定額によってローンバンクや不動産会社が自宅を買い取るという前提です。自宅は買い取られても、そのまま賃借人として住み続けられます。そして、買い取ってもらった不動産会社等に賃料を払い続けるという仕組みです。

リバースモーゲージとよく似ていますが、リースバックでは年金として金額をもらうわけではなく、買取金の中から賃料を払うため、賃料を払えなくなった場合は退去しなければならないというデメリットがあります。そのため、こちらも長生きのリスクに関しては不安が残る仕組みです。

老後資金は長期的な視点が大切

今回は、高齢になった時、自宅を売却せずに老後資金を補填する方法をご紹介しました。老後資金について考える際は、長期的な視点が大切となってきます。リバースモーゲージ等を選択しても老後の生活に資金的問題がないかどうかは、きちんとライフプランに沿った資金計画を立て、検証することが必要です。

不動産を活用した老後資金の計画について悩まれている方は、お金と不動産の専門家であるリフプラスにお気軽にご相談ください。

(2022年5月10日取材)

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