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住宅・不動産コラム
住宅・不動産コラム知っておきたい不動産とお金の知識

荷物が片付けられない家を売る方法

リフプラス 宅建士/ファイナンシャル・プランナー 木村美紀子

FP相談と不動産コンサルをしているリフプラスには、「家を売りたいけれど荷物を片付けられない」というご相談が寄せられることがあります。一体どのようなケースなのか、想像はつきますでしょうか? 私たちは、片付けを伴う住宅売却についての相談を、実際の物件売り出しに携わる宅建士の立場と、資金計画を注視するFPの立場の両方で、サポートすることがよくあります。今回は宅建士兼ファイナンシャル・プランナーの視点で、お悩み解決の方法を説明いたします。

「片付けられないが売り出せない家」はどのような家か?

 まず、「片付けられない荷物」というのは、「自分の荷物ではない」というイメージを持っていただければ良いと思います。自分のものではないので、どこに何があるのかという把握や、要るものといらないものの区別がとても難しく、「荷物が片付けられない」という相談事になるわけです。

 よくあるご相談には、3つのパターンがあります。1つ目は「相続をした家」です。相続をした家に自分も住んでいるけれども、親の荷物が何部屋かを占めてしまっている状態の家です。2つ目のパターンは「相続をした家が空き家になっている」というケースです。実家を相続したけれど、自分も兄弟も住んでいないというパターンです。そして3つ目がまだ相続はしていない「親名義の家」です。ご両親が入院していたり施設に入っていたりされているケースで、空き家になっている家です。

自分のものではない荷物に何があるかですが、例えばよくあるのが、食器棚や箪笥や本棚、ベッド、ダイニングテーブル、ソファ、ピアノなどの大型家具です。また、私たちの親世代は、立派な家具をお持ちの方が多く、例えば「大きな嫁入り道具が残っている」という話を伺うこともよくあります。

簡単に片付けられないもう1つの理由

 「片付けられない」原因のもう一つとして、「分別」の問題があります。まず「要るものといらないもの」の分別があり、次に廃棄する際のゴミ分別があります。自治体によって分別の方法も違い、特に粗大ゴミにあたるものは自分で処理場に持ち込まなくてはいけなかったり、自治体の粗大ゴミ回収の予約をしたりする必要があります。しかも、住んでいない場合は一層大変です。たとえば週末に実家に行き、分別はできたとしても、回収してもらうために屋外に出すのが平日の朝ではないといけない場合、仕事を休まないとゴミを処分できないということもありえます。兄弟も皆仕事をしていて忙しいことが多い世代のため、「誰がゴミ処理のため、何回実家に行くのか」という問題で、兄弟仲が悪くなってしまう残念な事例もあります。「ゴミ処理をしたいその日に、その場にいられない」と、想像以上に時間と手間がかかってしまいます。

あるお客様の事例では、片付けてから家を売り出そうとしたところ、片付けに何年間もかかってしまったそうです。

【お客様談:2人姉妹 実家を自分たちで片付けて売却したケース】

「仕事があるため毎日片付けに行く訳にはいかず、休みのたびに実家に通い、全部一応自分たちでやりました。ゴミ出しの際に冷蔵庫とか、タンスとか、大きいものは業者に頼みました。片付け始めてから実家の売却が完了するまでに、6年間もかかりました。かかった年数を考えるとなんだったんだろうと思います。後で分かったのですが、始めから業者に頼んだら100万円近い費用はかかりますが1日で片づいてしまうものが、妹と2人で6年間かかりました。時給で考えたら全然割にあっていなかったですね。実家に行くだけでも交通費がかかりましたし、自分の家に荷物をいっぱい車で運んだことも何度もありました。処分に大金を払うのは、もったいないという納得できない気持ちもありましたが、労力やストレスを考えたら、最初から業者に頼めば良かったと思います。」

家の中の荷物を処分しないで家を売る方法はあるのか

では、事例のように何年もかけて家を片付けないと売り出せないのでしょうか?

実は、現況のままでも売りに出すことは可能です。しかし注意点があります。まず家の中に関しては、「要るものといらないもの」をきちんと区別することです。自分で片付けなくても、要るものだけを出せば、後はお金さえ出せば家の中に残っているいらないものは、業者さんに全部処分してもらうことができます。

遺品整理屋さんと残置物撤去業者はどう違うか?

家の中の不用品を処分してくれる業者には、「不用品引き取り業者」「残置物処分業者」「産業廃棄物処理業者」などがあります。最近では「遺品整理屋さん」という名称を聞くことがあると思います。ご両親が亡くなり、実家を売却したいというご相談の際に、その遺品の処分を「残置物処分業者」などに頼むよりも、遺品整理屋さんに頼む方がいいんでしょうか」と聞かれることもよくあります。「名前が違うだけで、やることは同じ」と聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか。

 残置物撤去業者や産業廃棄物処理業者という名称を聞くと、自宅の荷物を処分したい場合にはイメージ合わず、依頼しづらいと思う方がより多いです。実際のところは、金額面では遺品整理屋さんの方が、少し高いことが多く、その代わりに丁寧に扱ってくれるそうです。どれだけ丁寧かは遺品整理屋さんに確認されるのが良いでしょう。

結局やることは大きくは変わらず、処分してくれる訳ですが、「遺品」として扱うか、「産業廃棄物」として処理するのか、スタンスの違いで金額が変わってくるようです。

 これらの業者は、大きな家具や家電、洋服、本、雑貨などほぼ処分してくれます。例外としては、家電リサイクル法の対象となるものの一部が対象外と言われたり、追加料金がかかったりすることがあります。該当する家電としては、例えばエアコンがあります。エアコンの取り外しは専門業者ではないとできないため、最初に「エアコンも処分してくれますか」と確認することをお勧めします。

片付けないといけないものは何か?

片付けないといけないものは何かということです。これはどうしたら良いのか、あれはどうしたらよいのか、と考えて作業が先に進まないことがあります。わかりやすい例えで説明すると、家を逆さまにした時に、落ちてくるもの全てとイメージしてください。「家を逆さまにした時に、落ちてくるもの(動くもの)は全て引渡しまでに綺麗にしてくださいね」というのが不動産売却をするにあたっての大原則です。ただし「簡単取り外せるもの」もありますので、細かなものは要相談です。

庭にあるものや植樹はどうする?

建物については、そのままでも売りに出すことができます。解体し、更地渡しにする場合は解体業者に依頼します。場合によっては建物の解体と残置物の処分は、まとめて依頼することもできます。

 また、家を解体する時は、更地渡し、つまり土地として何もない状態にしてから引き渡す方法があり、植木も全部撤去しないといけません。庭石、井戸、レンガ、またドラマ「正直不動産」に出てきたような祠(ほこら)、浄化槽は、解体業者の管轄になります。

庭に関しても「逆さまにして落ちてくるもの」が、処分の必要なものになります。ですから塀や倉庫、犬小屋は残置物処分屋さんに頼むことになります。あくまでも、解体業者は建物の解体であり、根っこがあり、土地にがっしりとついているものを処分するところです。

良い片付け業者の見分け方

こうした業者さんを選ぶ際の注意点はあるのでしょうか?

初めて依頼する場合、どこがいい業者さんかわからないというご相談や、あまり良くない業者さんにあたって高い請求を受けたという噂を聞いて不安だ、というご相談も多いです。一生に一回くらいしか使わないこともあるため、どんな業者がいいのか、またネットで調べてもいいのか悪いのかわからない、という声もあります。あるお客様の事例では、家のポストに入っていたチラシに電話して、複数社に見積もりを出させたところ、庭の木を切るのに25万円と言われたところと、5万円と言われたところがあったそうです。

また、残置物の処分に関しての注意点は、すごく安い業者は不法投棄をされたという話を聞いたことがあります。その場合は元の持ち主に責任が発生します。自分たちの過去の荷物が不法投棄されるのは怖いですね。そのため、すごく安いから良いというわけではなさそうです。きちんとした正規のところでは、持っていった荷物は産廃処理場、処分場に運んでくれます。

では、どうやって探せばいいのかと言いますと、ご自分で探すのは難しいと思われますので、売却を担当している町の不動産屋など、プロの不動産業界の人に探してもらうことをお勧めします。リフプラスでは信頼できる片付け業者を紹介していますので、ぜひリフプラスにご相談ください。

頼んだ後でわかる、困った業者の例

 あるお客様のエピソードです。自分で探した業者に依頼し、いざ荷物を運び出している最中に「もうトラックに乗りませんので、ここからは追加料金です」と言われてしまいました。驚いて、追加料金をすぐに承諾しなかったところ、残りの荷物があるのにトラックに乗る分だけを乗せて帰って行ってしまったそうです。新聞に載っている業者ということで、信用して依頼したのにショックだったとのことです。見積もりの際に一回来て中を見てもらって、「これはトラック1台で行けますね」と口約束されたそうです。当日来たトラックは「ずいぶん小さいなあ」とお客様は思ったらしいのですが、業者は「いや、でも乗りますよ」と最初は言っていました。ところが最終的に荷物が全部は乗らず「追加料金です」となってしまったのです。

 別のお客様も、「チラシで探して、倉庫の中の物をお願いしたら、もうこれ以上乗らない、じゃあもう一回くるから料金を」と言われたことがありました。

 安ければ良いという訳ではないという業界なので、自分で探すのは少し危険です。

 良い業者かどうかの一つは、「後になって追加料金ですと言わない」つまり、最初の見積もりよりオーバーしない、後から話が変わらないというのが一つ大事なポイントになります。きっちり約束通りのことをしてくれれば一安心ですね。ただ、終わってからではないと良い業者だったかどうかはわからないため、後悔しないためには信頼できる不動産業者などから紹介してもらい相見積もりをとることお勧めします。

処分費の費用はどのくらいか

では実際に、残置物処分の費用はいくらくらいになるのでしょうか? 実は費用は、物件の状況によってかなり違いがあります。一戸建ての場合、場所や道路付け、階数や荷物量によって全く異なります。イメージとしては、引越し業者さんの見積と少し似ています。エリアがどこか、トラックが家の前に行けるか、動線がどうか、何階から運ばないといけないのかによっても変わります。

 また、「箪笥の中に入っている洋服を毎日袋に入れてゴミの日に捨てたら安くなるのでは」「棚にある本や雑貨、などを捨てたら安くなるのでは」と思う方もいるかもしれませんが、実際のところは、捨てても捨てなくても料金はあまり変わらないことは多いです。

業者に頼む場合、それなりの金額はかかるけれども、自分でやるよりは、労力の負担が少なくなるところは大きいと言えます。

残置物の撤去と解体は、セットで頼むことができる場合があります。セット割引だと安くなるが、残置物だけの見積もりだと1.5倍になったというお客様もいらっしゃいます。

働く女性のためのマンション購入の注意点

[片付け費用見積り例1] 

2階建て120㎡、家の中をほとんど片付けた状態→約50万円 残置物処分と解体のセット割引

[片付け費用見積り例2] 

3階建て150㎡、スチール系の本棚や木材、ベッドが3つある等、荷物が多かったケース→200万円

 残置物については、「要るもの」を取り分ける作業がありますが、これが中々大変です。昔の写真や残したいものもあるでしょうが、判断は身内にしかできません。また、片付けていると時々昔のお金や高価なものが出てきたり、切手が大量に出てきたりということもあります。ただ、そうしたものを探すだけでも年単位での作業になり、出てきても数万円くらいということであるなら、潔く捨ててしまった方がいいという考え方もあります。

ただし、家を売る際には、絶対に見つけ出して欲しいものがあります。それは買った時の売買契約書です。理由は、売買契約書がないと、取得価格は売値の5%となってしまい、不動産譲渡税が高くなってしまうことがあるためです。

荷物が多い家を売り出す際に大事なこと

最後に、荷物が多い家を売り出す手順やかかる期間についてご説明します。「荷物全部入ったままなんですけど売り出したいです」というケースの場合、どのような手順で、大体何ヶ月後くらいで売り出しができるのでしょうか。

 もし荷物だけの話でしたら、「要るもの」さえ身内で分けて、家から取り出していれば、売り出しスタートはできます。

 ただ、引渡しまでには、荷物の全処分が必要です。業者とのやりとりは、スピード対応してもらいたければ、家を見に来てもらって見積もり出してもらうまでで2〜3日あれば可能なこともあります。電話をすると、「あ、じゃあ今週中に行きますね」と、日程さえあれば来てくれますし、見積もりも一週間くらいで出しますよというところも多いです。

 リフプラスでは、ご実家のご売却にあたっては、最初にフローチャートを作ることをお勧めしています。売り出すまで、および売り出した後に何が必要か、またどのくらいの費用がかかりそうかを把握するフローチャートです。今の現況からお金を換金できるまでの流れを知ると、スムーズに動けます。

リフプラスではこのフローチャートをご一緒に作っています。いつまでに、どんなふうに売りたいのかという全体像を知った上で、どんな条件で売却したいか、いつまでに換金しなければいけないのかなどを相談して決めていきます。最終的に一番大事なのは、「いつの時点で手元にいくら入ってくるのか」です。

まとめ:リフプラスからのご提案

要するに、目の前の「建物」解体にいくらかかるか、「荷物」をどう片付けるかに頭がいっぱいになる必要はなく、売却までの全体像を知ってから動くことが大事です。

 費用に関しては、例えば「残置物があるなら残置物業者さんに相見積もりを依頼しましょう」「解体業者さんにも同時に見積りを取ってきましょう」という動きをご一緒にして、早めにどんな費用がどのくらいかかるのかということを出していきます。 

不動産を売却する際にはその他にも、売主責任として「境界標の明示」や「測量費用」「越境物の解消」「覚書取付け」「物件状況の報告書(告知書)」「どんな条件で売るのか」などがあります。次に何が起きるかがわからないと、目の前のことだけで精一杯になってしまいますが、まずは不動産売却の際のフローチャートを把握しておきましょう。

最後に

不動産の売却と言っても、ご家族構成や背景、そして一人一人異なるお住まいへの思いがあると思います。リフプラスではいまの状況を確認させていただきながら、どのように進めていくのがよいのか、どんな経費をいくらくらい見込んでおけば良いのかなどを知識と経験に基づき、親身にアドバイスをさせていただいております。お片付けのお悩みを含め、ご実家の売却をプロに相談されたい方は、まずリフプラスにご相談ください。

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