個人間売買②~買主側のデメリット~
前号のコラムでは、個人間売買の「売主側」の注意点やデメリットをお伝えしました。(人間売買①~売主側のデメリット~)今回は、個人間売買の「買主側」の注意点やデメリットをお伝えします。
①調査されないまま引き渡しとなる
まず、買主のデメリットは、購入対象物件の調査がないまま引渡しを受ける可能性が高い、ということです。物件の調査がなくても、物件が買えればいいのではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。しかし、例えば、対象物件がマンションだった場合、通常の取引では、「管理に関わる重要事項」という書類があります。そこには修繕積立金の総額や、長期修繕計画の履歴などが載っています。この書類は買主から売主に請求し、売主が直接管理会社に請求すれば、管理会社は売主宛には出してくれると思います。しかし、買主も売主もこの書類の存在を知らなければ、それ自体を入手せずに契約するということになるかもしれません。長年不動産業界で仕事をしてきた私からすると、物件の詳細や注意点を知らずに購入するというのは、非常にリスクの高い不動産取引だと感じます。また、法規制の変更により、現在は既存不適格になっているマンションなどもあり、そういったことは、通常の契約時の書類のひとつである重要事項説明書には記載される内容です。その状況によっては、金融機関による融資の評価に影響しうるような非常に重要な内容です。
②必要書類を自分自身で準備する必要がある
また、金融機関は、不動産業者ではなく、お客さまからの直接の融資申し込みを非常に警戒します。もしも融資の承認が下りない場合は、その理由をお客さまに明かすことは出来ませんが、理由を教えてもらえなければ納得しない方が多いでしょう。また、無事に融資が下りる場合でも、例えば、金銭消費貸借契約といった段階で、銀行側が直接お客さまと連絡を取り合って必要書類の準備を依頼しないといけないというのは、非常に時間のかかる煩雑なものになり、銀行側にとって楽な案件ではありません。なおかつ、個人間売買のために必要書類の中の重要事項説明書を準備できない、ということであれば、この案件をまともに取り扱う金融機関というのは、メガバンクや大手地方銀行ではほぼないと言っていいでしょう。
このように、買主のデメリットとしては、ローンの進捗も含めて自分で全部必要な書類を揃えて対応をする必要があり、希望の物件を購入するまでに非常に労力がかかり、かつ融資をしてくれる銀行は限られる可能性があるということです。
個人間売買の場合は、親しい間柄のため、融資先が見つからなくて契約上の履行期限を過ぎても売主側は許してくれるだろうと考える方もいます。しかし、これはあくまで契約のため、いつまでにお金を準備するかなどの決まり事をきちんと定めて実行すべきだと思います。
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(2022年7月26日取材)